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イベント

第4回PIASセミナーを開催します

先端研究院(PIAS)では、先端研究院の最新研究成果を学内外に紹介し、愛媛大学内の共同研究や学外産学連携、自治体連携の契機作り、また、学外一般へのアウトリーチを目的とした、PIASセミナーを開催しています。
本セミナーは、研究者以外の方にも分かりやすく説明することを心がけています。どなたさまも、ぜひお気軽にご参加ください。

日時

2025年9月1日(月) 16:00 – 16:30

場所

ZOOMを用いたオンラインセミナー

参加方法

学内の方:EU_BBSのご案内メールにログイン情報が記載されております。
学外の方:以下参加登録フォームよりお申し込みください。折り返しログイン方法をお知らせします。

講演者

野見山 桂 准教授
沿岸環境科学研究センター

タイトル

PFASによる環境汚染問題
~ツシマヤマネコの事例から考える~

要旨

PFAS(ペルフルオロおよびポリフルオロアルキル化合物)は、1つ以上の完全にフッ素化された炭素鎖を有する人工的な有機フッ素化合物群の総称です。その種類は現在、1万4千種を超えると推定されています。しかし、強固な炭素-フッ素結合に起因する難分解性のため、環境中に長期間残留し、いわゆる“永遠の化学物質(forever chemicals)”とも呼ばれています。一部のPFASでは生物蓄積性と有害性が報告されており、生態系への汚染実態の解明が急務です。
本研究では、環境省の許可を得て、絶滅危惧種であるツシマヤマネコ(Prionailurus bengalensis euptilurus)21個体の肝臓・腎臓におけるPFAS汚染を調査しました。その結果、濃度には大きな個体差が見られましたが、多様なPFASが検出されました。肝臓における総PFAS濃度の最大値は、オスの亜成獣から検出された360ng/g(湿重量)であり、腎臓ではメス成獣から210ng/g(湿重量)が検出されました。これらの濃度は、日本の他の陸棲哺乳類や諸外国の野生生物の報告値と比較しても高値でした。特に、今回検出された高濃度PFAS蓄積個体(5検体)における濃度は、PFAS汚染が深刻であることで知られるシャチにも匹敵するレベルでした。今回、ツシマヤマネコがPFASに汚染されている実態が明らかとなり、その保全上のリスクが強く懸念されます。
本結果は、2025年7月に開催された「第4回環境化学物質合同大会」で発表させていただきましたが、共同通信の取材を経て、日本と海外の新聞40誌に掲載されました。近年のPFAS汚染と希少生物への影響についての高い社会的関心を示す結果だと考えられます。

お問い合わせ

愛媛大学 先端研究院 先端研究高度支援
E-mail: pias_adm -at- stu.ehime-u.ac.jp

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