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お知らせ

第8回PIASセミナーを開催します

先端研究院(PIAS)では、先端研究院の最新研究成果を学内外に紹介し、愛媛大学内の共同研究や学外産学連携、自治体連携の契機作り、また、学外一般へのアウトリーチを目的とした、PIASセミナーを開催しています。
本セミナーは、研究者以外の方にも分かりやすく説明することを心がけています。どなたさまも、ぜひお気軽にご参加ください。

日時

2025年11月17日(月) 16:00 – 16:30

場所

ZOOMを用いたオンラインセミナー

参加方法

学内の方:EU_BBSのご案内メールにログイン情報が記載されております。
学外の方:参加登録フォームよりお申し込みください。折り返しログイン方法をお知らせします。

講演者

先端研究院沿岸環境科学研究センター
仲⼭ 慶講師

タイトル

水圏におけるタイヤ摩耗粉塵の汚染状況の把握と生物影響評価
〜タイヤ粉塵の生態リスク評価と低減に向けた研究〜

要旨

タイヤ摩耗粉塵は環境中に流出するマイクロプラスチックの5割近くを占めるとされ、その削減は急務です。しかし、タイヤは現代社会の基盤を支える技術のひとつであり、使用量の削減は困難です。また、路面との摩擦で摩耗するため、粉塵の環境中への放出は避けられません。さらに、タイヤには多くの添加剤が使用されており、摩耗粉塵から添加剤およびその変化物が溶出することが知られています。このように、タイヤ摩耗粉塵の環境負荷についてはタイヤ特有の問題が存在します。

タイヤ摩耗粉塵の生態リスクを評価するために、我々はタイヤ由来粒子の環境モニタリングと生物影響評価を実施しました。北海道から沖縄まで11都道府県 の沿岸海域/湖沼における堆積物中のタイヤ由来粒子の濃度を調べたところ、36地点中32地点でタイヤ由来の粒子が検出され、最大濃度は4,260 µg/g(乾重量)でした [Water Research 286 (2025) 124278]。これらのタイヤ由来の粒子は川を通じて海や湖に運ばれ、陸域から流入した泥や有機物とともに沈殿し、堆積物中に蓄積していることが示唆されました。また、魚類(コイ)と甲殻類(ヨコエビ)を対象に生物影響を評価したところ、タイヤ粒子の曝露はコイに対しては血液毒性を、ヨコエビに対してはその生存率低下および成長抑制を引き起こすことが明らかとなりました。我々の研究および先行研究の結果から、水生生物への予測無影響濃度を算出したところ、国内の堆積物中のタイヤ粒子濃度は一部の地点で予測無影響濃度を超過しており、生態リスクが懸念されます。ただし、タイヤ粒子の毒性は主に添加剤由来の化合物に起因すると考えられ、これらの化合物の多くはすでに揮発、浸出、分解などによりタイヤ粒子からは消失していると予想されるため、タイヤ粒子の存在量のみに基づくリスク評価は過大評価となり得る点に注意が必要です。

リスク評価における問題を解決するために、2025年度より新規プロジェクトを開始し、タイヤ摩耗粉塵の発生量予測や粒子および添加剤由来化合物の環境中挙動の把握、複数生物種を対象にした生物影響評価を行っています。タイヤの持続的な使用のために、タイヤ摩耗粉塵の生態リスク管理に繋げたいと考えています。

お問い合わせ

愛媛大学 先端研究院 先端研究高度支援
E-mail: pias_adm -at- stu.ehime-u.ac.jp

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